はじめに
こんにちは。
今回はCisco製ルーターやスイッチのコンソールポートとVTY(Telnet/SSH)ラインにパスワードを設定する方法を、初心者向けに丁寧に解説します。
Cisco機器の初期設定では、コンソール接続やリモート接続時のパスワードを適切に設定しないと不正アクセスのリスクがあります。
また、特権モード(いわゆる“enableモード”)に入る際のパスワード設定や、パスワードを暗号化するservice password-encryption
コマンドについても触れます。
この記事では、それぞれの設定手順とポイントをまとめています。ぜひ一緒に確認していきましょう。
Consoleポートにパスワードを設定する手順
まずはコンソールポートにパスワードを設定する方法です。
コンソールポートとは、Ciscoルーターやスイッチ本体に直接コンソールケーブルで接続して操作するためのポートで、初期設定や緊急時の設定変更によく使われます。
初期状態のCisco機器ではコンソール接続にパスワードが設定されていないため、誰でも物理接続すれば入れてしまいます。そこで、コンソールラインにパスワードを設定して不正なアクセスを防ぎましょう。
コンソールパスワード設定の手順:
- 特権EXECモードに入る: 機器にコンソール接続したら、まず
enable
コマンドを実行します。プロンプトがRouter>
からRouter#
に変われば、特権EXECモードに移行できています。 - グローバルコンフィグレーションモードに入る: 次に
configure terminal
コマンドを入力します。プロンプトがRouter(config)#
のように変化し、機器全体の設定を行うモードに入ります。 - コンソールラインを指定する:
line console 0
と入力します。これでプロンプトがRouter(config-line)#
に変わり、コンソールライン固有の設定モードになります。 - パスワードを設定する:
password <パスワード>
と入力します(例:password cisco
)。 - パスワード認証を有効化する:
login
コマンドを入力します。 - 設定を終了する:
end
コマンドで設定モードを終了します。
以上でコンソールラインへのパスワード設定は完了です。
今後、この機器にコンソール接続すると、設定したパスワードの入力が求められるようになります。
正しいパスワードを入力すればユーザEXECモード(Router>
の状態)に入れますが、パスワードを間違えるとログインできません。
初期状態ではコンソールは無制限に操作できましたが、この設定により物理コンソールからのアクセスにも認証が必要となり、セキュリティが向上します。
補足: コンソールライン上でlogin
コマンドを有効にするにはパスワードが設定されている必要があります。
仮にパスワード未設定のままlogin
を設定すると、自分自身もコンソールから入れなくなるため危険です(実機では未設定でlogin
を入力するとエラーが出て設定できないようになっています)。
必ず手順通りにパスワード設定→loginの順で実行しましょう。
💡 補足: コンソールラインでlogin
を有効にするにはパスワードが設定されている必要があります。
VTYライン(Telnet/SSH)にパスワードを設定する手順
次に、VTYラインにパスワードを設定する方法です。
VTYラインとはVirtual Teletypeの略称で、TelnetやSSHによるリモート接続用の仮想的な回線のことです。
VTYパスワード設定の手順:
- グローバルコンフィグレーションモードに入ります(
configure terminal
)。 line vty 0 4
と入力します。password <パスワード>
と入力します(例:password network
)。login
コマンドを入力します。end
で特権モードに戻ります。
💡 補足: SSHを使用する場合はlogin local
を設定し、ユーザー名とパスワードも必要です。
enableパスワードとenableシークレットの使い分け
特権モード用パスワード:
enable password <パスワード>
: 平文で保存。非推奨。enable secret <パスワード>
: 暗号化して保存。推奨。
設定手順:
Router(config)# enable secret <パスワード>
🔒 ポイント: enable secret
を使えば、enable password
より安全です。
service password-encryption の役割と設定理由
service password-encryption
コマンドは、設定ファイル上の全てのパスワードを暗号化します。Router(config)# service password-encryption
と入力するだけで有効になります。
🔐 注意: このコマンドは設定ファイル上のパスワードを隠すだけで、通信を暗号化するものではありません。
以上、Cisco機器におけるパスワード設定の基本について解説しました。ぜひ実践して、安全なネットワーク運用に役立ててください。
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